何ができるか——3種類のWebUIを、環境構築なしで起動する
ConoHa AI Canvasは、GMOインターネットが2024年8月1日に提供を開始したAI画像生成サービスです。採用している生成AIモデルはStable Diffusion。ローカルで動かすなら本来はGPUの用意とPythonまわりの環境構築が必要な一式を、コントロールパネルからの起動操作だけで使えるようにしたものです。
起動時に選べるWebUIは3種類あり、公式サポートはそれぞれの用途をこう説明しています。Automatic1111は「階層的なUIデザインで直感的に操作できるため、初めて画像生成AIをご利用の方にも比較的扱いやすい」。ComfyUIは「独自のフローを自由に作り込める設計で、画面構成を細かくカスタマイズできる」。Kohya SSは「基となるモデルを追加学習させて独自のカスタムモデルを作成する際におすすめ」——つまりLoRA学習用です。
日本語化は最初から済んでいます。Automatic1111には日本語化拡張「stable-diffusion-webui-localization-ja_JP」がインストール済みで初期状態から有効、ComfyUIはデフォルトで日本語表記です。Automatic1111にはプロンプト補助の「Prompt All in One」も入っています。
モデルの持ち込みも制限されていません。Checkpointはhome/data/models/Stable-diffusion、LoRAはhome/data/models/Loraにファイルマネージャーからアップロードする、という手順が公式ガイドとして公開されています。ControlNetと拡張機能の追加手順もあります。「クラウドだから決められたモデルしか使えない」タイプのサービスではありません。
料金の実際——基本料金+6.6円/分。プランは無料時間ではなく容量で選ぶ
料金は月額固定の基本料金と、WebUIの利用時間に対する従量課金の合計です。プランは3つで、それぞれにストレージ容量と毎月の無料利用時間が付きます。従量課金の単価はどのプランでも6.6円/分(税込)です。
| プラン | 基本料金(税込) | ストレージ | 無料のWebUI利用時間 | 超過分 |
|---|---|---|---|---|
| エントリー | 990円/月 | 30GB | 毎月1時間 | 6.6円/分 |
| スタンダード | 3,278円/月 | 100GB | 毎月5時間 | 6.6円/分 |
| アドバンス | 7,678円/月 | 500GB | 毎月13時間 | 6.6円/分 |
GMOインターネットグループの公式リリースおよびConoHa公式サポートで2026年8月21日に確認。無料プラン・無料トライアルの記載はありません。
6.6円/分は1時間あたり396円です。これを踏まえて、同じ利用時間なら各プランがいくらになるかを計算すると、プラン選びの判断がはっきりします。
| 月の起動時間 | エントリー | スタンダード | アドバンス |
|---|---|---|---|
| 3時間 | 1,782円 | 3,278円 | 7,678円 |
| 5時間 | 2,574円 | 3,278円 | 7,678円 |
| 10時間 | 4,554円 | 5,258円 | 7,678円 |
| 20時間 | 8,514円 | 9,218円 | 10,450円 |
編集部が公式の基本料金・無料時間・6.6円/分から計算した試算です(税込)。実際の請求はコントロールパネルの「今月のご利用金額」が正になります。
表のとおり、利用時間だけで見ると、どの時間帯でもエントリーが最も安くなります。理由は単純で、スタンダードはエントリーより基本料金が2,288円高いのに、増える無料時間は4時間ぶん(=1,584円相当)しかないからです。アドバンスも同じで、6,688円の差額に対して増える無料時間は12時間ぶん(=4,752円相当)です。無料時間の追加分が、基本料金の差額を上回ることがありません。
だからプランは「どれだけ使うか」ではなく「どれだけ保存するか」で選ぶことになります。30GBに収まるならエントリーのまま従量課金で払うほうが安く、Checkpointを何種類も置いたりLoRAを作り溜めたりして容量が足りなくなったときに、はじめて上位プランの意味が出ます。
課金が止まる条件と、事故になりやすい仕様
このサービスで一番効いてくるのは料金表ではなく、課金の起点と終点です。公式のよくある質問はこう書いています。「WebUIの利用料金は『WebUIが起動してから終了するまで』の料金を分単位で計算される仕組み」。生成した枚数でも、GPUを使った時間でもありません。画面を開いている時間そのものが料金です。
救いはあります。起動待ちの時間は課金対象外で、「起動待ち画面からWebUIの画面へ遷移したタイミングで課金がスタートし、停止ボタンを押したタイミングで課金が停止」します。数分かかる立ち上げ時間ぶんは取られません。
そして自動終了時間の設定があり、デフォルトは60分です。一定時間使っていなければ自動的に終了します。ただし公式は「WebUIを起動していた時間分の料金は発生致します」とも明記しています。放置して自動終了した場合、その60分は請求されるということです。席を立つ前に自分で終了する習慣がつくかどうかが、そのまま月額に跳ね返ります。なお自動終了時間はWebUI起動中には変更できません。設定を詰めるなら、契約直後の起動していない状態で先に済ませておくのが確実です。
運用上、先に知っておくと詰まらない仕様がいくつかあります。
1契約で起動できるWebUIは1つだけです。公式は「並列での画像生成は出来ません」としています。これはKohya SSでLoRA学習を回すときに効きます。公式ガイドは学習時間の目安を「設定により30分〜数時間かかる場合がございます」としており、その間はWebUIが起動しっぱなしで、かつ画像生成には使えません。仮に3時間かかれば従量課金は1,188円ぶん進む計算です。学習は「安く試せる実験」ではなく、時間を買う作業だと思っておくほうがいいでしょう。
プラン変更も解約も、即時には効きません。プラン変更は変更予約をした翌月から適用され、公式は「即時でのプラン変更は出来ません」と明記しています。しかも下位プランへ移るときは、移行先の容量を超えたデータが残っていると変更処理そのものが実行されず、元のプランのまま継続されます。解約も同じく予約制で、「ご解約日は解約予約した当月末日となります。即時解約は出来ません」。契約は月ごとの自動更新なので、1か月だけ試すつもりなら、契約したその日に月末のリマインダーを置いておくべきです。
もうひとつ。トラブル時の最終手段であるストレージの初期化は、対象がhome/data配下だけです。生成した画像はhome/outputに保存されるため初期化しても消えません。逆に、消してしまったデータは復旧できないと公式が明言しています。定期的にローカルへ落とす前提で使うことになります。
向かない人——サポート範囲と、権利の責任がどこにあるか
「GMOの日本語サポートがあるから安心」という理由で選ぼうとしている人は、範囲を先に見てください。公式は「お客様センターのサポート範囲は、ConoHaのコントロールパネルに関する操作などがサポート対象となり、生成AIモデルやWebUIに関する設定などに関する内容はサポート対象外」と書いています。拡張機能が動かない、モデルを入れたら生成できなくなった、といった相談は対象外で、公式の案内も「モデルや拡張機能をファイルマネージャーより削除」「ストレージの初期化を検討」までです。Stable Diffusion側のトラブルは自分で調べて直せる人向けだ、と割り切る必要があります。
権利まわりの立て付けもはっきりしています。商用利用については「商用利用が許可されているモデルで生成した画像であれば、ご利用可能です」で、ライセンスの確認は利用者の責任です。さらに公式FAQは、生成画像に第三者から知的財産権の侵害の申立てを受けた場合も「当社は一切責任を負いません」(利用規約第9条)と案内しています。仕事で納品物に使うなら、モデルのライセンスを自分で読める体制が前提になります。
使い勝手の面では、実際に使った書き手から出ている指摘が2つあります。ひとつは部分的な修正が苦手なこと——「右手だけ差し替えたい」といった細部の直しには向かず、気に入らなければ生成し直す運用になります。もうひとつはスマホでの操作が現実的でないこと。ブラウザで動く以上スマホからも開けますが、WebUIは情報量が多く、画面の広いPCが前提です。移動中にスマホで回す使い方は成立しません。
そしてもっとも基本的な点として、無料で確かめる方法がありません。申し込むと初期構築に5〜10分ほどかかり、その月から基本料金が発生します。「合わなければ数日で抜ける」ができない(解約は月末)ので、最低でも990円と1か月は必ず預ける前提で始めることになります。TOOLDAQのConoHa AI Canvasの格付けページもあわせて確認してください。