何をするツールか——「録音を投げると議事録の下書きが返る」
Nottaは音声の文字起こしとAI要約を1本でこなすサービスです。公式サイトによると、リアルタイム録音、音声ファイルのインポート、話者の識別、AIによる要約、翻訳までを同じ画面で処理します。Web会議はZoom・Teams・Google Meet・Webexに対応しており、会議にボットを参加させて自動で記録させる使い方が想定されています。
誤解しやすいのは、出てくるのが「完成した議事録」ではなく「下書き」だという点です。後述するとおり、専門用語や複数人の同時発話には穴が残ります。手で最初から起こす作業を、読み直して直す作業に置き換えるツールだと考えるのが実態に近いはずです。
料金——「月1,185円」は12ヶ月分の一括払いである
公式の料金ページで最初に目に入る「¥1,185/月」は、年払いを選んだときの1ヶ月あたりの金額です。実際の請求は総額¥14,220(税込)の12ヶ月分一括払いになります。ここを月額と読み違えたまま契約すると、想定の12倍の金額が一度に落ちます。月払いも用意されていますが、公式ページは年払い表示が既定になっているため、月払いの金額は申込画面で確認してください。
| プラン | 年払い時の料金 | 文字起こし時間 | 1回あたりの上限 |
|---|---|---|---|
| フリー | ¥0 | 120分/月 | 3分 |
| プレミアム | ¥1,185/月 総額¥14,220(税込) | 1,800分/月 | 5時間 |
| ビジネス | ¥2,508/月 総額¥30,096(税込) | 無制限 | 5時間 |
| エンタープライズ | 個別見積 | カスタマイズ | 5時間 |
2026年8月18日に公式料金ページで確認。AI要約はフリー10回/月、プレミアム100回/月、ビジネス200回/月(1アカウントあたり)。ファイルインポートはフリー50個/月、プレミアム100個/月、ビジネス200個/月(1アカウントあたり)。
有料に切り替わる条件ははっきりしています。フリーは1回につき3分で文字起こしが止まります。30分の会議を1本通すことすらできないので、無料枠は「自分の声と録音環境でどれくらい正しく変換されるか」を確かめる試運転用と考えてください。月120分という枠より、この3分の壁のほうが先に来ます。
プレミアムとビジネスの分かれ目は、文字起こし時間が1,800分/月で足りるかどうかです。1時間の会議に換算すると月30本。個人で使うならプレミアムで足り、チームで席を分けるならビジネス、という置き方になります。
精度はどこで落ちるか——実名レビュー62件から見えた4つの穴
IT製品レビューサイトのITreviewでは、Nottaは62件のレビューで5点満点中4.0点でした(2026年8月18日確認)。点数そのものより、低評価の理由が特定の場面に集中していることのほうが判断材料になります。実際に挙がっていた不満は次の4つです。
1. 専門用語と社内固有名詞が化ける。ソフトウェア・SI業の利用者から「業界ならではの専門用語や社内だけで使っている独特な固有名詞や略語が別の言葉に誤変換されてしまうことがあります」という指摘が出ています。用語の多い会議ほど、後の修正時間が増えます。
2. 方言に弱い。非営利団体の利用者は「標準語と少し異なる発音(方言)のとき、日本語の認識が弱い」と書いています。
3. 複数人が話すと話者識別が入れ替わる。IT業のマーケティング担当から「複数人が話す場面では話者の識別が時々入れ替わることがある」との指摘があり、一括編集機能の改善要望が添えられていました。発言者の割り当てが実務上重要な議事録では、ここの確認が必要になります。
4. 文脈やニュアンスは残らない。「細かいニュアンスや文脈の解釈は完全ではなく、最終確認は必要」という声もありました。
裏を返すと、静かな環境で、話者が順番に話し、固有名詞が少ない会議——定例のミーティングや1対1の面談——では穴が出にくいということです。自分の会議がどちら側かは、無料枠の3分で試せば概ね分かります。
契約前に読むべき規約——返金はない
公式の利用規約第9条7項に「当社は、法律で定めがある場合を除き、本サービスの料金等の払い戻しおよび本サービスの利用期間の延長には一切応じないものとします」とあります。年払いで14,220円を払った翌週に合わないと分かっても、返金はされません。
あわせて第9条4項で、契約は利用期間ごとに同じ期間で自動更新されると定められています。解約については第9条5項に「日割り計算による精算は行わず、解約後においても支払済みの利用期間中は本サービスを利用できる」とあり、解約しても支払い済みの期間は使えて自動更新が止まる、という形です。つまり手続きの期限を逃すと次の1年分がそのまま走ります。
この2つを踏まえると、順番は決まります。無料枠で自分の音源を試す → 必要なら月払いで1〜2ヶ月使う → 手放せないと分かってから年払いに移る。年払いの割引は大きいものの、返金のない契約に先に飛び込む理由はありません。
向かない人——ここで引き返したほうがいい
会議が月に数本しかない人。フリープランの120分/月で収まるなら、有料に上げる必要はありません。ただし1回3分の制限があるため、長い会議を丸ごと通したいなら回避策はなく有料になります。
専門用語・社内略語が中心の会議をさばく人。前述のとおり誤変換が残る領域です。出力をそのまま配れる想定で導入すると、読み直しと修正の時間が丸ごと残ります。導入するなら「修正込みで何分かかるか」を無料枠で測ってから決めてください。
会議ツール側のAI議事録が既に使える人。ZoomやTeamsの上位プランには議事録の自動生成が含まれる場合があり、その範囲で足りているなら重複した支出になります。まず自社の契約内容を確認するほうが先です。
録音環境が悪い現場。雑音の多い場所や、複数人が同時に話す打ち合わせでは精度が落ちます。ツールを変える前に、マイクを話者の近くに置くほうが効く場面があります。